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盃洗の買取（永楽善五郎・妙全・千家十職）江東区福住

平素より大変お世話になっております。東京都江東区での酒器・骨董・茶道具買取専門店「江戸市川」です。

今回お伺いしました地区は東京都江東区福住になります。

江東区福住は旧深川区に相当する深川地域に属する地区です。

かつては隅田川河口の洲でしたが江戸時代の埋め立て事業により埋め立てられ出来た地区となります。

石置き場や材木置き場として用いられておりましたが人が集まるようになると町屋へ発展していくようになりました。

さて、この度買取対象となりました酒器は盃洗と呼ばれる、盃を洗うための道具です。

日本では一つの盃で酒を酌み交わし絆を深める慣習があり、自分の使用していた盃を洗ってから他の人へ渡しておりました。

盃洗の中に盃を洗う用の水を張り、宴会や茶懐石などの席で用いられておりました。

共箱には永楽善五郎の文字があります。

永楽善五郎とは室町時代末より千家十職のひとつ・土風炉師を務める京焼の家元であり名跡です。

永楽家は代々土風炉と茶碗などを制作しており、当代17代目となります。

尤も初代から9代目までは永楽ではなく西村姓を名乗っており、永楽姓となったのは10代目以降です。

千家十職の中で茶碗の制作を務めるのは楽家の楽吉左衛門ですが、楽吉左衛門は黒楽や赤楽と呼ばれる楽茶碗を主に制作しているのに対し永楽善五郎は主に伝世品の写しなどを作り区別化が図られております。

箱には「染附雲鶴模様盃洗」とありますので、中国祥瑞手の写しになるでしょう。

箱の裏には「永楽善五郎造」と「悠」の一字が捺印されております。

箱書きの筆致などからもこちらの盃洗は14代永楽善五郎の妻・永楽妙全の作品ということが分かります。

永楽妙全は14代永楽善五郎こと永楽得全が急死後、14代善五郎を名乗り名跡と繋げるとともに15代善五郎の育成に尽力したことで知られる女流陶芸家です。

1914年（大正3年）に三井総領家10代・三井高棟より「妙全」の号を賜り、自身の作品には14代永楽得全の落款と共に、三井銀行社長であり表千家の茶人でもあった三井高保より賜った「悠」の字が押されております。表千家12代家元の惺斎（敬翁宗左）好みを多く作り、女性らしい品格のある茶道具を残しております。

買取いたしました盃洗は宴会というより茶懐石で用いられた作品でしょう。傷もなく完品となります。

ただ永楽妙全の活躍した大正時代頃までは酒宴で盃洗を使う文化はまだ残っておりましたが今現在ではあまり用いられなくなった酒器のひとつかもしれません。

お茶の湯でもお点前として習わない方の方が多いと思われますので茶道具の買取としましても抹茶碗や茶入などに比べますと控えめな買取価格となってしまいます。

それでも永楽妙全の作品であること、共箱もしっかり整っていることから酒器・茶道具の買取として12000円にてお譲りいただきました。

酒器や著道具としてだけでなく花器や食器としての見立ても楽しい逸品かもしれません。

この度は永楽善五郎（妙全）の盃洗買取にご用命下さりありがとうございました。

酒器・骨董・茶道具買取専門店「江戸市川」では盃洗の買取を強化しております。
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