美術品や骨董品の鑑定をして値段をつける人気番組がありますが実際の骨董品や美術品の鑑定と査定は少々意味合いが異なります。
鑑定とは専門的な知識を持つ専門家が化学的や統計学的アプローチや感覚的な観点から分析し真贋を判断することを指します。古陶磁や書画などの箱に「〇〇識」といった裏書は〇〇という専門家や有識者が鑑定をし真作と判断したという証明書きになります。茶道具では三千家の家元や大徳寺といった茶道と禅に縁のある寺の住職などの裏書が多く見受けられます。
ここで大切なことは鑑定は真贋判断であり「買取価格や市場価格を決めることではない」ということです。
テレビの鑑定団で提示される価格はあくまで担当した鑑定士の主観でありテレビ的演出でもあるので正確な査定額というわけではありません(実際その様な旨の注意書きもされております)。
真贋判断の難しい美術品では個別の作品や作家にのみ対応した鑑定機関が存在します。
例えば渋谷の東急百貨店にあります棟方志功ギャラリー内・棟方志功鑑定委員会は棟方志功作品専門の鑑定機関として有名です。
専門機関は鑑定を行う機関のため査定は行っておりません。
一方の査定とは「売却可能な価格を算出すること」を意味します。また査定額はその時の市場のニーズや経済状況にも左右されるため定まった金額を毎回提示するというわけではありません。
骨董品や美術品の査定の現場では鑑定と査定を行います。
市場の評価は真作に対してのみ行われるため、「真贋を判断し、市場としては価値が付かない贋作」を見極めねばならないからです。
真贋の判断が重要なことはもちろんですが、査定には「現在のトレンド」を読む力が必要となります。戦後の高度経済成長期に盛隆を極めた骨董品や美術品のトレンドと今現在のマーケットのニーズは全く異なります。
また各買取店の持つ個別の販売ネットワークも買う力・高額査定には重要です。現在は店頭に行き商品を購入するよりもEC(イーコマース)でのお取引を重視されているお客様が増え骨董品や美術品の売買スタイルも変わりつつあります。
そして、これはアナログな発想ですが、査定とは最終的に店とお客様、人と人との信頼の結果かと存じます。骨董品を次の方に繋ぐということはお客様の御心やお気持ちも次の方に引き継ぐことでもあります。大切にしてくださる方への橋渡しこそが私たち「江戸市川」の本懐となります。
「江戸市川に頼んでよかった」というお客様の一言こそが私たちにとって最大の利益です。
骨董品・美術品の査定の際には「江戸市川」にご相談いただけましたら光栄です。