平素より大変お世話になっております。神奈川県横浜市での酒器・骨董品・書道・掛軸買取専門店「江戸市川」です。

今回は神奈川県横浜市に在住の方より買取致しました中村不折など書家・書道家の掛軸をご紹介したいと思います。

「価値があるかわからない掛軸があるので査定してほしい」とのお問い合わせを受け拝見したこちらの掛軸には「泰東書道幹部古希記念書」と書かれておりました。

その掛軸の中央よりやや右下に「不折」とあります。中村不折の肉筆の壽（寿）かと思われます。

中村不折は明治から昭和10年代にかけ活躍した書家・書道家であり洋画家です。中国書の蒐集と研究でも知られており、唐時代の書道家・顔真卿の作品で唯一現存する真作・真蹟「顔真卿自書建中告身帖」を所蔵しておりました。

19歳の時に北原安定に漢籍を、真壁雲卿には南画を、そして白鳥拙庵に書を学ぶなどし、書道と絵画の分野で同時に類まれなる才を発揮いたします。

ただ元々はどちらかというと画才に溢れ、上京後は小山正太郎に師事し絵を学び、25歳の時には第2回明治美術会展覧会に水彩画3点を出品しました。

その後、正岡子規と出会い、新聞記者になり俳句を書いたことをきっかけに「不折」を名乗り、30歳になると正岡子規とともに日清戦争に従軍し、中国に渡った際に書に興味を持ったようです。

中村不折は様々な文化人との交遊で知られておりますが、こと書道に注目すると日下部鳴鶴や前田黙鳳との親交を深め健筆会を結成、六朝書の研究に取り組んだことで有名です。

泰東書道院の学術顧問を務め、昭和11年（1936年）書道に関する中国の古文物1万余点を納めた書道博物館を東京市根岸の自宅に設立し、書道普及に力を尽くしました。

画像の掛軸はちょうどその時期に書かれた掛軸かと思われます。

ただあまりにも本紙にシミが多く、書道の掛け軸としては保存状態が悪いため査定評価としてはかなり低くなってしまいました。

その結果をご依頼者様にお伝えし、ご依頼者様自身もご不要とのことでしたので、ご納得いただいた上でお預りさせていただきました。

この度は書道・掛軸の買取査定ならびに中村不折の買取査定にご用命下さりありがとうございました。

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