平素より大変お世話になっております。市川市での酒器・骨董・版画買取専門店「江戸市川」です。

　
この度お伺いしました地区は千葉県市川市菅野です。市川市菅野には戦後に小説家の幸田露伴や永井荷風が移り住んだことでも知られる、かつての別荘地でした。京成電鉄本線・菅野駅を最寄りに日暮里や押上へと繋がるため現在でも住宅街として人気の地区です。
また市川市は私たち「江戸市川」の所在します江戸川区と隣接するため、酒器や骨董、茶道具などの買取で度々お伺いする地区でもあります。

さて、今回買取の対象となりました木版画は昭和時代に活躍された創作版画家・勝平得之の『いろり』になります。
勝平得之は1904年（明治37年）秋田県生まれの版画家です。家業で紙漉きや左官をする傍らで絵を描いておりましたが、浮世絵と出会い木版画の世界に入ります。
勝平の作風は秋田情景を素朴な彩色で描くことが特徴で、私たち日本人にどこか郷愁さを感じさせます。

　
拝見しました『いろり』は1939年（昭和14年）に勝平得之『秋田風俗十題』というシリーズで制作された作品の内の一つです。いろりを囲む母娘が独特のタッチで描かれております。秋田らしい絣と藁靴が描かれております。娘は足の裏をいろりの火で温めているところから雪の中を歩いてきたのかもしれません。
余白には「アメリカ・バアジニア美術館展覧会出品作・1957年」とあります。

勝平は1935年にナチス政権から逃れ日本を訪れていた建築家ブルーノ・タウトと出会い、作品が世界に紹介され名が知られるようになります。戦後もアメリカでの展覧会も盛んでしたのでこの作品はその中のひとつでしょう。

勝平得之の師は農民美術運動に参加した木村五郎です。勝平自身も秋田出身ということもあり農民美術にはシンパシーを感じていたことは間違いないでしょう。
大変長閑な作品です。お客様にお話をお伺いしますと、お持ちだった方はご依頼者様の祖父様ということでした。祖父様のご出身も秋田県ということで大変お気に入りの木版画だったそうです。
今回はご遺品の整理ということでお伺いさせていただきましたが、現在のお住まいのご事情から形見分けされるお品とお持ちにならないお品に分けるところからお手伝いさせていただきました。
勝平の木版画も故人様がお好きだった作品ですのでお売りにならずお持ちいただくこともご提案致しましたが、お住いに洋間が多いことから和のテイストの作風が合わないとのことから「大切にして下さる方にお譲りしたい」との旨を承り買取させていただく運びとなりました。

今回は勝平の木版画のほかに、秋田県の伝統工芸品でもある樺細工や川連こけし、またデパートや百貨店でご購入されたウェッジウッドなどのカップ＆ソーサーも同時に買取させていただきました。
この度は版画や伝統工芸品、陶磁器などの買取にご依頼下さりありがとうございました。

酒器・骨董・版画買取専門店「江戸市川」では絵画・版画の買取を強化しております。
版画の買取や勝平得之や畦地梅太郎、棟方志功といった創作版画家の作品売却をご希望のお客様は是非酒器・骨董・版画買取専門店「江戸市川」にお問い合わせ下さいませ。

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