平素より大変お世話になっております。千葉県船橋市での酒器・骨董・木版画買取専門店「江戸市川」です。

　
この度お伺いしました地区は千葉県船橋市となります。

千葉県船橋市は江戸時代に佐倉街道や東金御成街道など交通の要所として知られており宿場町として栄えた地です。

現在は千葉県市川市・習志野市・鎌ヶ谷市・白井市・八千代市と隣接し、千葉市や都心のベッドタウンとして発展してきた地区でもあります。

さて、今回買取対象となりました木版画は棟方志功の木版画「棟方志功板画柵集」となります。

発行したのは「えくらん社」、戦後棟方志功を支援した出版社として知られております。

こちらの棟方志功版画集は昭和33年に限定300部で発行されました。値段は当時の価格で1万2000円、昭和33年の大卒男性初任給が1万5000円弱でしたので給料ほぼ一か月分と大変高額な版画集です。全10作品、画像の様に棟方の代表作「二菩薩釈迦十大弟子」のひとつ「阿難陀の柵」が収められるなど棟方志功の公認作品集として今でも棟方志功ファンの間で取引される木版画となります。

棟方志功の作品は贋作の多さでも知られており、渋谷東急の棟方志功ギャラリーでの鑑定が必須となっております。中には共シールも偽造されたものもあるため来歴含め大変高度な鑑定が要求されます。棟方志功のファンの方にとっても贋作の多さは悩ましい問題でなかなか手が出しにくい美術品だと言えます。

一方のえくらん社の棟方志功木版画集は贋作の可能性が低く、安心して購入できる巧芸品となります。しかしきちんと木版画として摺っているため、ただの巧芸版画ではないと高く評価されております。

こちらの棟方志功木版画集は10作品中8作品と揃いではありませんでした。

ただ当時の外箱も残っておりましたので、お客様にえくらん社と棟方志功のご説明をさせていただき、ご納得いただける価格にて買取致しました。

この度は棟方志功公認えくらん社棟方志功板画柵の買取にご用命下さりありがとうございました。

因みに板画というのは棟方志功が用いた造語です。版木を通して木の魂を彫り出そうという気持ちから版画ではなく板という言葉を用いました。

作品を柵と呼ぶのも棟方志功独自の発想です。柵は四国の巡礼者が寺に納めるお札のことを指すそうです。棟方にとって作品は、お札同様、祈りを込めて彫る神聖な存在です。そのため敢えて自身の作を柵と当てたとされております。

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