平素より大変お世話になっております。東京都練馬区での酒器・骨董・版画買取専門店「江戸市川」です。

　
この度お伺いしました地区は東京都練馬区になります。東京都練馬区は23区部北西部に位置し中野区・杉並区・豊島区・板橋区・武蔵野市・西東京市のほか埼玉県朝霞市・和光市・新座市と林政つする区です。全体的に閑静な住宅街が多く、大泉学園や石神井といったエリアは現在でも人気があります。

さて、この度買取対象となりました版画は具象版画を追求した版画家・北岡文雄の作品「石鎚高原」です。

北岡文雄の版画は確かな観察眼から生まれる写実表現が特徴的です。ただし写実的な版画といえども吉田博や川瀬巴水に代表される新版画とは異なり、どこか情緒的な部分を感じさせます。

それは恐らく北岡文雄がもともとは油彩画を学びキュビズムやロシア構成主義、抽象画に造詣が深かったからかもしれません。キュビズムや抽象絵画は内面を描写しようと心がける一面があります。

逆に抽象表現を経ているからこそ見えるクリアな写実性と言っても過言ではありません。

また北岡文雄にとって創作版画の第一人者・恩地幸四郎や日本銅版画の代表的版画家・長谷川潔の影響も大きかったでしょう。

特に長谷川潔の紹介によりエコール・デ・ボザール（パリ国立高等美術学校）のビュラン教室教授であり版画家のロベール・カミから木口木版の技術を習ったのは大きな転機だったのではないでしょうか。代表作「海と老人」ではこの頃の作風が大変良く現れております。

こちらの作品「石鎚高原」はフランス・アメリカから帰国した北岡が日本全国を訪れながら制作した風景版画の一つかと思われます。

制作年は1976年（昭和51年）、LOTはナンバーではなくartist proof（A.P)です。マージンにヤケなどが見られます。

これらの状況と北岡文雄の現在の市場評価額と鑑み買取価格を提示、ご依頼者様にご納得いただいた上での買取となりました。

この度は戦後活躍した版画家・北岡文雄の木版画作品の買取にご用命下さりありがとうございました。

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