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九谷焼徳利の買取(初代須田菁華・祥瑞瓢形徳利一対)江東区豊洲

買取価格 15,000※買取価格は参考価格です。買取時の市場相場、お品物の状態により価格は変動します。
買取品目 徳利 酒器 陶磁器
作家名

須田菁華

買取エリア 東京都
買取時期 2020年12月
買取品名 九谷焼徳利の買取(初代須田菁華・祥瑞瓢形徳利一対)江東区豊洲
付属品

共箱

共布九谷焼徳利の買取(初代須田菁華・祥瑞手)江東区豊洲

買取方法 出張買取

江戸市川鑑定士からのコメント

平素より大変お世話になっております。東京都江東区での酒器・徳利・骨董品買取専門店「江戸市川」です。

 

今回お伺いしました地区は東京都江東区豊洲になります。

江東区豊洲は1923年(大正12年)の関東大震災のがれき処理で江東区東雲と共に埋め立てでできた地区となります。

その後工業地として運用されましたが1990年代から豊洲センタービルの完成を皮切りに区画整理が進み住宅地への移行が進行します。

江東区豊洲は深川地域に属し、同じ江東区東雲・有明・枝川や中央区晴海・月島とも接する利便性の高さから現在ではファミリー層に人気の地区となりました。

 

この度買取対象となりました酒器は九谷焼の名工・初代須田菁華による徳利一対です。共箱には徳利とはあえて書かず酒瓶とされております。

初代須田菁華は近代九谷の再興の一役を担い、更に芸術家・北大路魯山人に陶芸の手ほどきをした人物として有名です。

須田菁華は1964年(文久2年)石川県金沢市の商家に生まれます。

1880年(明治13年)石川県勧業試験場陶画部を卒業し京都にて作陶を学びます。

1883年(明治16年)九谷陶器会社に入社し1885年(明治18年)画工長に任命されます。

1891年(明治24年)独立し石川県加賀市山代温泉に錦窯を築窯しました。

1906年(明治39年))登り窯の菁華窯を築窯し古九谷や中国明時代の古染付・交趾・色絵・祥瑞手・吸坂手・呉須赤絵・色鍋島・万暦赤絵・古伊万里などの古陶磁の倣古作に取り組み作域を広げます。それらは鑑賞用陶磁器であると同時に向付や料理皿、蓋物などの懐石用具として機能する、洗練された「用の美」を併せ持っておりました。

 

須田菁華の名の由来でもある「青花」は中国の染付を意味する言葉です。特に初代須田菁華の染付は中国明時代や清時代の官窯・景徳鎮窯を思わせる卓越した優美さが特徴です。

今回拝見しました祥瑞手は主に中国の明時代に流行する様式です。中国の祥瑞手の模倣をただの模倣で終わらせることなく、俗気がなくのびのびとした、しかしそれでいて精密な筆致で見事に描かれております。気取った飾り気がないため懐石などの食事にもきちんと用いることが出来得るところも秀逸です。

 

初代須田菁華の元を芸術家であり美食家でもあった北大路魯山人が訪れ作陶を習ったことはある意味天命だったのかもしれません。

北大路魯山人は幼い頃度重なる不幸により家庭の温かみに縁がありませんでした。そんな魯山人が福井県鯖江の豪商・窪田朴了の計らいで金沢の漢学者・細野燕台と出会います。

魯山人は細田家の食客となり、そこで食卓を囲む賑やかさや温かみを知ります。そして細田燕台の食卓で使用されていた食器が初代須田菁華の食器だったのです。

 

魯山人は大勢の家族と共に囲む食卓や食器がいかに料理を引き立たせるか強く心に感じ、その様子を「まるで器から出汁がでているようだ」と形容したと云われております。

当時は書家・篆刻家として活躍していた魯山人は菁華窯の印字看板を手掛けており、その出来栄えに大変満足した須田菁華は魯山人を菁華窯に招き入れ、魯山人もこのことをきっかけに陶芸を学ぶようになりました。

書家の魯山人もはじめての上絵付けは書の様にはいかず苦労したとのことでしたが、そこはやはり魯山人の才覚でしょう、飲み込みの早さと抜群のセンス、大胆な構図と運筆で高い評価を受けたと云われております。

 

私は初代須田菁華と北大路魯山人のこの関係が大好きです。

1927年(昭和2年)須田菁華が逝去された際、魯山人はこう弔辞を送ります。

「翁は実に、当代磁器界における第一の異才なり。美しくして浮華ならず、渋くして枯淡ならず、才あり、情あり、気あり、而も識高く優に一家の風格を備えたる方に天下独歩の観あり」

 

こちらの初代須田菁華の徳利は石川県金沢市にお住まいだったご依頼者様のお父様が同居の際にお持ちになられたものとのことでした。

ご依頼者様と同居されるにあたり石川県金沢市のご実家の整理をされ晩年はご一緒に過ごされたそうです。残念ながらお亡くなりになられ、ご依頼者様は骨董品にあまりご興味がないため「使って頂ける方に使って欲しい」「酒器・買取で検索すると酒器・骨董品買取専門店で江戸市川がヒットした」などのご理由から光栄にも弊社にご連絡くださいました。

 

徳利買取のポイントとして「共箱であること」「コンディションが良いこと」「高名な作家・陶芸家の作品であること」をご説明し、初代須田菁華の時価評価と酒器・徳利としての市場価格などから鑑み15000円で買取いたしました。高台は使用に伴うスレがございましたが目立つ割れや欠けもなく、大変保存状態のよい徳利です。

この度は須田菁華の徳利ならびにご遺品の整理にご用命下さりありがとうございました。

 

酒器・骨董買取専門店「江戸市川」では九谷焼・徳利の買取を強化しております。
徳利や盃、ぐい呑、猪口、蕎麦猪口といった酒器の買取や須田菁華や徳田八十吉、吉田美統といった九谷焼作家作品のご売却をご希望のお客様は是非酒器・骨董買取専門店「江戸市川」にお問い合わせ下さいませ。

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