平素より大変お世話になっております。東京都江戸川区での酒器・ぐい呑・骨董買取専門店「江戸市川」です。

今回伺いました地区は江戸川区清新町になります。

江戸川区清新町は荒川と中川の合流点にあり、同じ江戸川区西葛西・臨海町や江東区と接する地区です。ここ清新町にはUR都市機構の住宅団地が多く、江戸川区でも人口の多い地区として知られております。

さて、この度買取対象となりました酒器は志野焼のぐい呑です。

志野焼は美濃焼のひとつで酒器や茶道具の茶碗などが多く作られております。

志野焼の特徴は志野釉と呼ばれる白い長石釉を厚めに掛けることで釉肌に現れる貫入や小さな気孔、そして白とは対照的に釉薬の掛かりが少ない部分に現れる緋色の赤が織り成す景色の妙が挙げられます。

志野焼の歴史は室町時代の茶人・志野宗信が美濃の陶工に命じて作らせたのが始まりとされており（諸説あり）、茶道が完成された桃山時代に盛隆を極めます。いわゆる桃山茶陶です。

志野焼には文様の様子や釉薬の様子によって「無地志野」「絵志野」「鼠志野」「赤志野」「紅志野」といったいくつかの種類に分類されます。

今回買取させていただきました志野焼のぐい呑は長石釉がたっぷり掛かった「無地志野」です。下絵はあまり入れず、長石釉の白と素地の赤味かかった土色のコントラストをシンプルに楽しむことができます。釉薬を掛ける際にできた陶工の指の跡も面白い景色となることが多いです。

志野焼は桃山時代の茶道具の流れを汲むため抹茶碗が有名です。桃山時代に美濃焼の古窯・牟田洞窯で焼かれた志野茶碗『卯花墻（うのはながき）』は国宝に指定されております。

そしてぐい呑の作陶方法はその抹茶碗で用いられる技法に通ずるところが多く、抹茶碗とぐい呑の親和性は非常に高いと言えます。

ぐい呑みは元々、茶懐石などで用いられた向付や小型の茶碗であったため茶道具との関連が深かったためではないかと考えます。そのためか、志野焼でもぐい呑は多く生産され人気の高い酒器の一つとなっております。

こちらの志野焼のぐい呑は桃山時代や江戸時代初期に作られた古志野というわけでも、志野焼の人間国宝・荒川豊蔵や鈴木藏、加藤孝造といった著名な作家が作陶した作品というわけでもなく、普段使い用のぐい呑なため買取価格はごくごく控えめにならざるを得ません。ただ使うときに緊張してしまうような高価なぐい呑ではなかなか日々の晩酌で使おうとは思いませんが、日常使い用でしたら気楽に使えるのがいいですね。器は使ってみて値段以上の良さがわかることがあります。

この度は志野焼のぐい呑買取にご用命下さりありがとうございました。

酒器・骨董・工芸品買取専門店「江戸市川」では志野焼・ぐい呑の買取を強化しております。

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