平素より大変お世話になっております。東京都江戸川区での酒器・骨董・浮世絵・戦争絵買取専門店「江戸市川」です。

伺いました地区は東京都江戸川区になります。

東京都江戸川区は東京都東部に位置する特別区です。江戸川区の区名は江戸川に由来しているのですが、元々当時の東京市は区役所の所在予定地域を区名とすることが原則だったため区役所設置予定地が松江だったことから松江区という区名を検討しておりました。しかし松江の名前がそこまで知られておらず区の東端を江戸川が流れていることから江戸川区と命名されたそうです。

さて、買取対象となりました浮世絵・錦絵は戦争絵です。

画題は日清戦争『朝鮮平壌落城シ我兵大勝利』、浮世絵師は歌川国政になります。

左下に書かれた小国政は国政の画号です。同一人物と思われておりますが1891年（明治24年）以降の作品に関しましての詳細は不明です。

なぜなら歌川国政は代々続く名跡であり、名を継いだ1891年（明治24年）以降は「五代目国政」の落款を用いた作品が多く残されているからです。

こちらの戦争絵は1894年８明治27年）発刊ですが、1891年（明治24年）以降の作品にも「小国政」の落款は用いられたため同一人物か別人なのか不明というのが一般的です。

歌川国政といえば代表作『魯国皇太子御着之図』ほか日清戦争の錦絵で有名です。

こちらの戦争絵は『朝鮮平壌落城シ我兵大勝利』というタイトルが正式なのですが『田庄台激戦我軍占領』と書き換えられております。

田庄台攻略は遼東半島全域の占領を目的とした遼河平原の作戦の一環で日清戦争史上最も激戦となった市街戦として知られております。

田庄台攻略の戦争絵は小林清親が雪吹雪の中進軍する日本軍の様子を描いた『田庄台攻撃占領之図』が有名です。

なぜもともと『朝鮮平壌落城シ我兵大勝利』だったものが『田庄台激戦我軍占領』となったか詳細は分かりませんが恐らく版木をそのまま転用し、錦絵新聞として摺ったものではないかと推察します。

偽物と言うわけではなく、いわゆる「後摺り」による改称かと思われます。

逆に言えば、それだけ当時は戦争絵の人気があったということの証左とも言えるでしょう。

尤もこの戦争絵を最後に浮世絵の役割はどんどんと写真が担うようになっていき、浮世絵の技術は挿絵や口絵に集中するようになり浮世絵自体は廃れてしまいます。

ただ戦争絵は浮世絵としての価値とは別に当時の戦争報道を知る上でも大切な資料となります。

こちらの戦争絵の浮世絵はご依頼者様のお父様がご蒐集されていた浮世絵のひとつだそうです。

ご依頼者様自身は役者絵や花魁などの浮世絵はともかく、戦争絵に関してはあまりご興味がなく、好きな方に持っていて欲しいと弊社にご依頼下さりました。

後摺りということで浮世絵・錦絵買取価格としては控えめとなってしまいますが、戦争資料のひとつとしてご納得いだだける価格にてお譲りいただきました。

他にもご遺品の整理という形で和本などの古書も買取させていただきました。

この度は浮世絵・錦絵の買取ならびに古書・戦争絵の買取にご用命下さりありがとうございました。

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