【蕎麦猪口買取】これからお猪口・蕎麦猪口を売る際に知っていると得する情報【お猪口処分】

2018.10.09

  • 江戸市川コラム
  • 酒器

 

【猪口・蕎麦猪口買取】はじめに

猪口(ちょこ・ちょく)は一般的にお酒を飲むための小さな器になります。ぐい呑みより一回り小さく少しずつ日本酒を楽しみたい方に向いています。

お猪口の中でも「蕎麦猪口」と呼ばれるものは骨董コレクターのみならず、普段使いの骨董として蒐集されている方の多いコレクターズアイテムのひとつとして知られております。

 

小振りな蕎麦猪口はお酒を楽しむだけでなく、イヤリングやピアスなどを入れる小物入れや小さな観葉植物を植える植木鉢のように使われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

多彩な図柄がお猪口・蕎麦猪口の魅力ではありますが、値段もサイズもお手頃感がありついつい数多く蒐集してしまいがちです(笑)

 

そこで今回は「引っ越しのため」「断捨離・生前整理のため」「コレクションが増えすぎたため」「ご遺品の整理のため」など様々な理由でお持ちのお猪口・蕎麦猪口を売却したい・買取して欲しいとご検討の方に「どんなお猪口・蕎麦猪口が高額買取されるのか」その種類と見分け方をご紹介したいと思います。

ご自身でご蒐集された方が生前整理や終活をされるならともかく、お亡くなりになった家族の方が蕎麦猪口をご蒐集されており、その価値や見方が分からないご遺族様が遺品整理で大変苦労されているというお声をよく耳にします。こちらの記事がお猪口・蕎麦猪口についてご存知の方、そうでない方の両方のとってお役に立てれば幸いです。

 

 

【猪口・蕎麦猪口買取】お猪口・蕎麦猪口とは

猪口の「ちょく」の語源には「ちょこっと」や「ちょくちょく」といったちょっとしたものや些細なことを表す「ちょく」を語源とする説や飾りっ気のないことを表す「直(ちょく)」とする説、また当時の朝鮮音で水や酒の器を表す「鍾甌(チョング・チョク)」から由来したという説など諸説あり未だ定まっておりません。

 

お猪口・蕎麦猪口には筒胴や丸胴、六角柱など様々な形状が見られます。

これは、ぐい呑みもそうなのですが、お猪口や蕎麦猪口は元々が本膳料理や茶懐石などで和え物や酢の物、珍味などを入れた向付など小振りの器だったと考えられております。

 

お猪口のひとつに「蕎麦猪口」があります。

蕎麦猪口とは一体なんでしょうか。一般的には「そば汁を入れる器」として認識されているのではないでしょうか。

現在私たちが食べている紐状の蕎麦が始まったのは寛永頃(1624年~1645年)、さらに「ざるそば」の名前が現れるのは元文年間(1736年~1741年)、深川の洲崎のざるそばが有名となった頃ですが、その当時は「蕎麦猪口」といった呼称は用いられておりませんでした。

 

この時期に伊万里などで焼かれた小振りの器がそば汁入れとして使われていたとされております。この時期の伊万里焼は中国との輸出陶磁器競争に破れて海外向けではなく国内向けに日用雑器を生産していた頃とも重なります。

江戸後期の書物『守貞漫稿』には「猪口には和え物等を盛る」と記載されており、「猪口」とはつまり食べ物を入れるための器と認識されていたことが分かります。

お猪口とは日用雑器でもあり、また一方で結婚式など晴れの日のための向付もまた然りです。

いわゆる蕎麦猪口におめでたい吉祥文様が多いのはそのためです。

また稲穂などの図柄も蕎麦用ではなく農家で豊作を祈る、豊作祈願だったのかもしれません。

農村などでは庄屋や地主など地元の名家がこういったお猪口・蕎麦猪口を何客もセットで保管しており、地元農民の結婚式など特別な席に貸し出したり地元の行事・寄り合いで客人をもてなすために用いました。

今現在「蕎麦猪口」と呼ばれる器は単なる生活雑器ではなく晴れの日のための特別な器でもあり、その両方の作行を楽しめるのも後世に生きる私達だからこそかもしれません。

 

 

【猪口・蕎麦猪口買取】お猪口・蕎麦猪口の時代・年代別種類とその価値

猪口・蕎麦猪口には時代によって人気や買取価格が異なる場合がございます。

特に伊万里焼のお猪口・蕎麦猪口ですと4つの時代に大別されることがほとんどですので順に説明したいと思います。

 

・江戸時代初期ー初期伊万里

初期伊万里は伊万里焼創世の1610年頃から1640年頃に焼造された伊万里焼の総称になります。

この時代の伊万里焼の技術はまだ未熟だったため素朴さが残り、その作為の無さがかえって趣きとなり人気の高い時代となります。

初期伊万里の特徴は生がけ焼成と呼ばれる方法です。素焼きをせずに磁胎に絵付けをするため素地や染付の顔料が安定せず滲んだり淀んだり、とろんとした味わいが見られます。

しかし筆致は伸びやかで、くすんだ絵柄と相まって独特の意匠となりそれが猪口・蕎麦猪口蒐集家だけでなく古陶磁ファンや古美術ファン、また民芸愛好家から絶大な支持を受け今現在でも猪口・蕎麦猪口買取において高額になりやすいものと言えます。

 

蕎麦猪口の時代を見る時は高台、つまり蕎麦猪口の底の部分を見るといいでしょう。

初期伊万里は高台が「あげ底高台」なものが多いのも特徴のひとつです。小振りな猪口・蕎麦猪口が多いのですが底が厚めに作られているものもあり見た目よりもずしりと重く感じるかもしれません。

高台があるものは薄口で口縁が外に反ったものもありますが、これはこの時代中国から渡ってきた煎茶碗の影響と考えられております。

 

この時期の絵付けで人気が高いのがこんにゃく印判と呼ばれる手法で描かれたものです。

こんにゃく印判とはやわらかい素材を用いた判子による絵付けのことでぼってりした風合いに人気が高まり蕎麦猪口査定ではプラス評価となります。

 

・江戸時代前・中期ー古伊万里

初期伊万里の素朴さに比べるとこの時期の伊万里焼は生産も安定するようになり、技術的に向上し最盛期を迎えます。

いわゆる「柿右衛門手」と呼ばれる技法もこの時期に生まれます。器の素地も薄くなり素焼きをした後に絵を入れ再焼成する技法は絵付けの技術を格段に向上させました。

初期伊万里に比べ描かれる図柄や文様の種類が増え、日本独自の文様文化を構築します。

そのひとつが「蛸唐草」でしょう。

またこの時期から見込みと内側の縁に文様が描かれる様にもなります。

染付も発色もよく、大変細かい図柄も多く見られるようになりました。

 

高台は「べた底」と呼ばれる、高さのない高台全体に釉薬がかけられたものが多く見受けられます。

 

・江戸時代後期ー伊万里焼

この時期の伊万里焼は海外輸出製品ではなく国内向けに生産を始めた頃になります。

絵柄や文様の多様さは中期に引き継ぐ形となりますが、技法に若干の省略化が見られるようになります。それは大量生産という経済的側面が影響したとも考えられております。

しかしモチーフの多さは特出すべきものであり、人物文や動物文など大変ユニークな作品が一気に増えたのもこの時期です。

また後期の蕎麦猪口から胴がずん胴になっていき口径も広がり大ぶりになっていきます。

高台は「蛇の目高台」と呼ばれる、中央の丸く窪んだ部分にのみ釉薬がかかるものが主流になっていきました。

 

また裾模様が現れるのもこの時期です。裾文様とは蕎麦猪口の胴の下部にぐるりと描かれた文様のことです。片仮名の「コ」の字を縦にしたような文様や連弁文などがその代表例です。

 

・江戸時代末期・明治以降

幕末期から明治時代の猪口・蕎麦猪口で見られるのが「ベロ藍」と呼ばれる顔料です。

ベロ藍は浮世絵で渓斎英泉、葛飾北斎や歌川広重などが用いた海外製の藍の化学染料として知られておりますが、伊万里焼などの絵付けにも使用されました。

天然顔料による染付より藍の発色が鮮烈なため当時大変流行しました。

そして手描きによる絵付けが行われた一方で「印判手」と呼ばれるものも多く生産されるようになります。

印判手は明治以降の染付生産技術において欠かせない技法です。

「型紙摺絵」や「銅版転写」といった技術革新により、より一層の大量生産が可能となりました。

 

 

【猪口・蕎麦猪口買取】高額買取となりやすい猪口・蕎麦猪口のポイント

①時代性

上記でいいますと「初期伊万里」が最も希少性の高い猪口・蕎麦猪口と言えるでしょう。

これは古美術品全般に当てはまることではございますが、時代のあるものは希少性が高く、他の時代より高額での取引となることが多いです。

初期伊万里に関しては上記のような見分け方もありますが、高額での取引となる古陶磁でもあるため贋作も少なくありません。

特徴のひとつが当てはまるからといって初期伊万里であると即断せずに注意深く確認して下さい。

 

②人気の高い様式や絵柄であるか 

古伊万里では藍九谷や柿右衛門手などの染付は人気が高いのですが、それはお猪口・蕎麦猪口でも同様です。

そしてお猪口・蕎麦猪口では絵柄や図柄の面白さも査定ポイントのひとつです。

「南蛮人」などの人物文様や「兎」などの動物文様はコレクター心をくすぐり、一般的な蕎麦猪口より高額買取となるケースも見受けられます。

初期伊万里や古伊万里とは異なり、後期以降のお猪口・蕎麦猪口は大量生産による日用雑器の側面もあるため希少性というよりも図柄・絵柄の人気度合いが査定のポイントとなってきます。

 

伊万里以外でも瀬戸焼のお猪口・蕎麦猪口では麦藁手と呼ばれる平行な縦縞文様も人気の手となります。

 

③「民芸」要素

民芸とは大正・昭和で生まれた新しい美的価値観になります。

推奨したのは「民芸運動」を興した柳宗悦らです。

民芸とは「用の美」という、生活雑器の中にある美意識です。

無名の職人の手による日用品に見られる「作為の無さ」や「素朴さ」を高く評価し、新しい美意識として世に広めます。

 

この作為の無さや素朴さは昭和の数寄者・青山二郎や白洲正子も高く評価しお猪口や蕎麦猪口を蒐集したことでしられています。

最もこの「用の美」があるとされるのは初期伊万里とされており、後期の蕎麦猪口などは民芸というよりも次で紹介します「生活骨董」というジャンルになるかと思います。

 

④生活骨董として日用品として使えるかどうか

お猪口や蕎麦猪口は現在でも日用品として使われることが多い骨董品のひとつです。

実際に日常生活で使用する骨董を「生活骨董」と呼ぶ人も少なくありません。

手軽な値段で骨董を身近に感じ、使用した楽しむことができる生活骨董というジャンルは男女問わず人気があります。

そこで重要なポイントは「使用に耐えうる状態かどうか」です。

 

日用使いをしてますと割れや欠けができてしまいがちです。ニュウが入っていては日用品として使うことは難しいかもしれません。

もしお猪口や蕎麦猪口のご売却を検討されておりましたら是非割れや欠け、ニュウ、ヒビなど傷の有無をご確認下さい。

 

 

【お猪口・蕎麦猪口を売る際に知っていると得する情報】まとめ

お猪口・蕎麦猪口は骨董ファンだけでなく一般の方にも愛好家の多い身近な骨董品のひとつです。

元々は向付など料理を盛る器でしたがお酒を入れたり、そば汁を入れたりと様々な用途で転用されることとなります。

一般的に時代のあるお猪口・蕎麦猪口は高額買取の対象となりやすく、初期伊万里や古伊万里などがそれに該当します。また図柄・絵柄が多様なため、それらの人気も査定に大きく影響します。

生活骨董という一面もあるため保存状態の良し悪しも査定ポイントとなりますのでご確認下さい。

 

私たち「江戸市川」は酒器を中心としてお猪口・蕎麦猪口も多く取り扱って参りました。

お手元にご売却を検討中の猪口や蕎麦猪口などがございましたら是非「江戸市川」にご相談下さい。

たとえ他の買取業者では断られたお品でもご依頼・売却いただけます。もちろん無料査定です。

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